「フェアレディZ」:50年に亘る情熱の系譜

「Z」が紡ぐ革新の伝統を振り返る

2020/09/23
  • クルマ・技術
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9月16日に日産が発表した「フェアレディZ プロトタイプ」は今、世界中で大きな反響を呼んでいます。その発表会場となったニッサンパビリオンでは、「フェアレディZ プロトタイプ」の誕生を祝い、そして歴代のZへ敬意を捧げるため、日産ヘリテージコレクションから厳選された7台のZを展示しました。

「フェアレディZ」は、1969年に初代モデルが発売され、昨年生誕50周年を迎えました。今回は、6世代の「フェアレディZ」の中から特に象徴的な7台を通じ、伝説のスポーツカーの歴史と進化を振り返ります。

Z伝説の始まりとなったモデル。S30型「フェアレディZ」(北米など一部地域ではダットサン240Z)は、スタイリッシュなデザインと運転が楽しい優れた動力性能、そして高い信頼性と誰でも手に届く価格などを実現し、これまでのスポーツカーの常識を覆すモデルとなりました。同モデルは1969年12月の発売直後から大ヒットし、世界のスポーツカー市場に大きな衝撃を与えました。

今回展示した「Z432」には、当時、日産のスポーツカーの代名詞であったS20型エンジンが搭載されています。スカイラインGT-R(PGC10)にも搭載された、直列6気筒24バルブDOHCのS20型エンジンは160馬力を発生。高性能モデルらしく、リミテッド・スリップ・デフ(差動制限装置)や、軽量でスタイリッシュな外観のマグネシウムホイールを標準装備しています。尚、「432」という番号は、4バルブ、3キャブレター、2本のカムシャフトに由来しています。

2.4リッター直列6気筒エンジンを搭載した「240Z」は、当初北米市場向けに開発され、1970年に発売されました。その後、日本のお客さまからの強い要望を受けて1971年11月に日本でも発売されました。

日本では、240Z、240Z-L、240ZGの3グレードが用意されました。最も注目を浴びたのは、フロントのいわゆる「Gノーズ」が特徴の「240ZG」です(Gは「グランド」の略)。FRP製のノーズピース、ヘッドライトカバー、ボルト留めのオーバーフェンダーは、240Zシリーズのどのモデルとも異なり、今も熱狂的なファンから人気を集めています。空気抵抗係数を示すCd値は0.39と当時のスポーツカーでもトップクラスを誇り、最高速度は時速210キロに達しました。

「フェアレディZ プロトタイプ」のヘッドライトは、240ZGのドーム形状のヘッドライトカバーからインスピレーションを受けており、レトロとモダンが融合した個性的なデザインとなっています。

「S130型」(中央)

S130型 フェアレディZ Tバールーフ・2シーター(HS130 1980年製)

1978年に「フェアレディZ」は2代目にフルモデルチェンジしました。S130型は、2.8リッター直列6気筒エンジン「L28E」を搭載。ボディサイズの拡大と共に2シーターと2+2シーターの2種類をラインナップし、高級感を高めながらより洗練されたモデルとなりました。1980年には、コンバーチブルスポーツカーの魅力を楽しみたいお客さま向けにTバールーフモデルを追加しています。

当時、大人気を博した刑事ドラマ「西部警察」で、ガルウイングドアなどの特別架装を施した「スーパーZ」が登場したことなどもあり、日本国内で280Zは伝説のクルマとなりました。

1983年に発売されたZ31型には、それまでの直列6気筒エンジンに代わり、ターボチャージャー付V6エンジン「VG30ET」が搭載されました。

今回展示した車両は、日産の創業50周年を記念して生産された「300ZX 50th アニバーサリー」です。本モデルは2シーター、Tバールーフのボディにターボエンジンを搭載し、オートマチックと5速マニュアルのトランスミッションが用意されました。シルバーとブラックのツートーンカラーは本モデルの専用色で、米国向けに5,148台、カナダ向けに300台が限定生産されました。

1989年に発売されたZ32型は、一新されたスタイリングとその高性能により、世界最高クラスのスポーツカーと並び称されました。第4世代となる本モデルは、2シーターと2by2(4シーター)をラインナップし、エンジンは最高出力230psの3.0リッターV6エンジン「VG30DE」と最高出力280psのツインターボエンジン「VG30DETT」を搭載しました。

スーパーHICASによる4輪操舵に加え、4輪マルチリンク式サスペンションや4ピストンの高性能アルミキャリパーブレーキといった当時最先端であった技術を多数採用し、世界トップクラスのドライビング性能を実現しました。今回展示したモデルは、最上位グレードの2by2ツインターボ仕様です。

2000年8月にZ32型の販売が終了すると、日産を代表するスポーツカーの存続を求める声が多数寄せられました。日産はそうしたZファンからの声に答え、2001年の北米国際自動車ショーにおいて「Nissan Z Concept(日産Zコンセプト)」を公開しました。Z復活のニュースは自動車業界において大きな話題となり、メディアやファンからも新型Zのデザインとパフォーマンスに大きな期待が寄せられました。

そして、このコンセプトカーをベースとしたZ33型は、最高出力280ps、最大トルク363Nmを発生するスムーズで高性能な3.5リッターV6エンジン(VQ35DE)を搭載し、2002年7月に発売されました。Z33型は2008年12月の6年間で25万台以上を販売し、後継モデルとなるZ34型に道を譲りました。

Z34型 フェアレディZ バージョンST(Z34 2020年製)

Z34型は2009年にデビューし、現在も販売されています。第6世代となる本モデルは、最高出力336psの3.7リッターV6エンジンを搭載しています。また、前モデルからホイールベースを100mm短縮し、大幅な軽量化を実現することで、走行性能を大幅に高めました。今回の展示車は、バージョンSTです。(7速オートマチックトランスミッション)

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