日産の「技術」と「モビリティ」でパンデミックに挑む

2020/05/25
  • 社会貢献
  • サステナビリティ
facebook
X
linkedin
mail

世界的な広がりをみせている新型コロナウイルス感染症は、多くのひとの生活に影響を与えています。感染が拡大している地域では感染者の爆発的な増加により、医療物資の供給と生産が追いつかず医療現場の逼迫が深刻化しています。

日産は、お客さまをはじめ地域社会の皆さま、取引先や関係先の皆さま、従業員とその家族の健康と安全・安心を最優先に、各国の政府指針に基づき、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための対応を実施しています。

さらに、新型コロナウイルス感染症で闘病中の方々、昼夜を問わず奮闘されている医療従事者や政府自治体関係者の方々に対して、何か私たちで貢献できることはないかと常に考えてきました。

そのために、政府や自治体と連携し、自動車産業の枠にとらわれず、自社のノウハウやリソースを、医療現場をはじめ感染拡大の最前線に立つ皆さまへの支援へと繋げる取り組みを世界各国で加速させています。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大の一日も早い終息を願い、日産として取り組んでいることをいくつかご紹介しましょう。

逼迫する医療のニーズに「技術」「リソース」で応える

需要が急増しているフェイスシールド、医療用ガウン、人工呼吸器、マスク、マスク製造用機械などを製造し、医療機関や自治体に納品しました。

3Dプリンターをフェイスシールドづくりに利用

早期に医療現場へ供給を開始するため、クルマの開発設計や試作段階で、3次元データから直接、プラスチック部品が製造できる「3Dプリンター」を活用して、日本、アメリカ、イギリス、スペイン、南アフリカ、メキシコなどで飛沫を防止するフェイスシールドの制作が行われました。フェイスシールドは、3Dプリンターでフレームを制作し、プラスチック製の透明フィルムを付けることで完成します。フレームの制作やパーツの組み立ては、日産の開発拠点や工場の設備が使われました。制作にあたっては、多くの日産従業員の専門性が活かされ、工場内のロジスティクスには、サプライチェーンの知識を活用することで、効率的により多くのフェイスシールドが生産できるようになりました。また、イギリスでは従業員がボランティアとしてパーツの梱包・発送に協力し、さらに国内外にある日産の拠点だけでなく、関連会社の日産車体やニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(ニスモ)でも取り組みがスタートしています。更なる供給ニーズに応えるため、日本では、より生産性の高い射出成形と呼ばれる手法(金型に樹脂を流し込み製品を作る方法)でもフレーム部分を生産できるよう、金型を社内で製作し、生産を実施しています。

北米日産のスマーナ工場のダイレクター、ティム ファロンは「組織として、私たちにはコロナウイルスの感染拡大を食い止めるための支援を行う知識、そしてモチベーションが高い従業員がリソースとしてあるということはわかっていました。最前線でコロナウイルスと闘っている医療従事者やコミュニティに恩返しができるということは、身が引き締まる思いです」と意気込みを語っています。

アメリカ:フェイスシールドを制作

アメリカ:フェイスシールドを梱包

物流で使用している梱包シートを利用し、迅速に医療現場へガウンをお届け

フェイスシールドに並んで、医療現場で求められているものが医療用ガウンです。日本の各生産工場では、早く医療現場へお届けできるよう材料調達スピードを考慮し、社内の物流で使用している梱包シートを素材として活用しています。また、作業効率を上げるために専用のトリム治具を作成し、この情報を横展開することで、他工場における立ち上げのスピードアップにつなげています。デザインも産業医のアドバイスや神奈川県庁の要望を聞きながら5回の試作を経て、最終的なデザインにたどりつきました。ガウンの製作は国内全工場を挙げ、社員の総意工夫により日々改善を織り込みながら、高いモチベーションで取り組みました。

日本:医療用ガウンを裁断
日本:医療用ガウンを制作

人工呼吸器の制作・修繕に工場のリソースを活用

重症患者の治療に欠かせない人工呼吸器。その需要はかつてないほどに増加しています。日産はパートナー・エンジニアリング企業や医療機関と協力し、スペインのバルセロナにあるパワートレイン工場で人工呼吸器の生産に乗り出しました。またブラジル南部のレゼンデでは、日産のエンジニア従業員が同地域で工場を操業する他の自動車メーカーとも協力し、人工呼吸器の修繕を行っています。

ブラジル:人工呼吸器を修繕

スペイン:医療従事者による日産から納品された人工呼吸器の確認現場

技術を結集してマスク製造ラインを完成

不織布製の使い捨てマスクは、世界的に品不足が続いています。日産は中国でパートナーを組む東風汽車とともにマスク製造用の機械の製造にも挑みました。自動車の製造ではあまり使うことがないメルトブローン不織布という素材を扱うことに当初はプロジェクトメンバーにも戸惑いがありましたが、長年にわたり蓄積されたノウハウを使って、非常に短期間で生産ラインを作り上げることに成功しました。この異業種での挑戦も、「需要があるものをとにかく作らなければ」という強い思いが従業員の心を突き動かしました。

中国:マスク製造用機械を製造

中国:続々と製造されるマスク製造用機械

知財を自由に使えるようにし、「ワンチーム」で困難に立ち向かう

さらに国内では、業界の垣根を超えて新型コロナウイルス感染症のまん延終結を目指し、技術支援を行う動きが加速しています。日産は、保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行なわず、一切の対価や補償を求めないとする「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に参画しています。これにより、さまざまな企業や大学、研究機関が、参画企業の保有する知的財産権の調査や、そのためのライセンス交渉などに時間を割くことなく、新型コロナウイルス感染症のまん延終結に向けて、迅速かつ最善の開発・製造ができるようになります。

モビリティのエキスパートとして支援活動をサポート

今回の感染拡大により、多くの国で医療従事者や患者の方の搬送、そして医療物資などの輸送を安全に行うことが大きな課題となりました。ロックダウンなどの行動制限も多くの地域で実施されたため、支援を必要とする人に支援が届きにくい状況が続いています。

日産は、クルマ単体だけでなくモビリティを提供する会社として、様々な国で政府・自治体、医療機関、NGOと連携し、それぞれのニーズに合った車両の貸し出しを行っています。公共交通機関を使うことが難しいケースだけでなく、ソーシャルディスタンスという言葉が定着するほど、距離を保つことの重要性が叫ばれる中、自家用車での移動に対するニーズはますます高まっています。

さまざまなシーンで日産車が活躍!

イギリスでは、「Keeping Heroes Moving(ヒーローが動き続けられるようにしよう)」というキャンペーンを実施し、医療従事者に無料でクルマの貸し出しを行い、安心して通勤できる環境を整えました。タイでは赤十字社と協力し、地方都市に医療物資や食料を届けるキャラバンプロジェクトにクルマを提供し、従業員がドライバーとしても参加しています。南アフリカでは、現地の大学機関と協力し、保健省のコロナウイルス・スクリーニングテストを実施する際、医療従事者の「足」として日産車が使われました。日本では、軽症患者の輸送にも使用される予定です。さまざまな場面で日産車両が支援活動をサポートしています。

タイ:医療物資や食料を届けるプロジェクトへ車両を提供

南アフリカ:大学・保健省のコロナウイルス・スクリーニングテストに協力

英国日産のマネジング・ダイレクターのアンドリュー ハンバーストーンは「医療従事者が大きなプレッシャーにさらされている今、日産は彼らがトラブルなく便利に移動できるようサポートしたいと思っています」と語り、最前線に立つ方々が安心して医療に従事できるよう、モビリティの面で少しでもお役に立てることを誇りに感じています。

地域によって必要とされる支援はさまざまであり、感染の拡大状況も刻々と変化しています。日産は、今後も各国の政府や団体との密接な連携を図り、感染拡大防止の一助となるよう、総力をあげて支援に取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症拡大防止についての日産の取り組みの詳細情報はこちらから。

ストーリーをシェアする

facebook
X
linkedin
mail

最新の日産ストーリーを受け取る

最新の日産ストーリーを受け取る

おすすめのストーリー

2023/07/20

GT-Rを追いかけて

  • クルマ・技術
  • People

2023/08/09

快適な「陸」の旅を!プロパイロット2.0と共に

  • クルマ・技術

2023/06/21

技術職に就く女性を勇気づけたい

  • People