新型「Z」に隠されたデザインの要素を一挙解説

新しいデザインに込められた歴代モデルへの敬意

2021/12/17
  • クルマ・技術
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まったく新しいデザインをまとって誕生した新型「Z」。一目見ただけで「Z」と分かるそのデザインには、歴代の「Z」から着想を得た数々の要素が、さりげなく取り入れられています。

50年にわたる歴代の「Z」に学び、再構築し、そして新たに生み出したデザイン。そのこだわりのポイントをご紹介します。

エクステリア

サイドシルエット:「ロングノーズ・ショートデッキ」のシルエットは、初代モデルから続く日産のスポーツカーの象徴です。そして、サイドシルエットの最大の特徴は、カウル(ボンネット後端、ワイパー格納部分)の高さより、トランクエンドの方が低いということ。ルーフから流れるような、美しくなだらかなラインが強調されたこのシルエットは、見る人すべてに「Z」であることを認知させます。

隠れた黄金比:人間が本能的に美しいと感じる黄金比。例えば、自然の中ではオウム貝、芸術の世界ではレオナルド・ダ・ヴィンチの作品、さらに建築物や音楽にもこの黄金比は現れます。新型「Z」では、ドアとサイドウインドウのバランス、そしてフロントとリアのスタイリングにこの黄金比が用いられ、自然で心地よい美しさを感じさせます。

シルバーのルーフライン:ルーフラインの形や色は、日本刀から着想を得ました。横からクルマを見ると、リアに向けてなだらかに低くなる形状が、黒のルーフと相まって「Z」のシルエットを引き立てています。また、高度な職人技によって日本刀がつくられるように、「Z」も高度な技術によってつくられていることを表現しています。

リヤクォーターウインドウ:三角形のガラス形状は、初代モデルから受け継がれたもので、Z34型でも採用されていました。

ボンネット:「パワーバルジ」と呼ばれるボンネット上のふくらみも、初代モデルから受け継がれています。そのシャープなラインは、ロングノーズのアクセントとなっており、ボンネットの下に格納されたエンジンの力強さを醸し出しています。

グリル:シャープな長方形のグリルは、初代モデルやZ33型のグリル形状を参考としており、V6ツインターボエンジンへ空気を導入する機能もしっかりと果たしています。一つひとつのグリルの穴は、Z32型のテールランプへのオマージュで、角が取れた長方形に仕上げています。

ヘッドランプ:ヘッドランプの形状は、初代モデルのデザインを踏襲しています。また、2本の三日月型のLEDは、「Gノーズ」で親しまれている「240ZG」(HS30型)の、ドーム形状のヘッドライトカバーに当たった光の映り込みをイメージしてデザインされています。

「Z」ロゴ:初代モデルを彷彿とさせるロゴのバッジが、初代モデルと同様にリアクォーターガラスの数インチ横に取り付けられています。

テールランプ:初代モデルやZ31型に採用されていたテールランプの間を黒くしたデザイン。Z32型で進化を遂げたこのデザインは、新型「Z」に踏襲されています。

リヤスポイラー:アヒルの尾の形に似ていることから「ダックテール」と名付けられた特徴的なリヤスポイラー。このスポイラーを好んだ初代「Z」のオーナーは、カスタマイズして愛車に装着していました。新型「Z」では、機能やデザインを際立たせる「ダックテール」を、現代風にスポーティなデザインに仕上げています。

18インチホイール:初代モデルの4本スポークホイールのデザインをオマージュし、力強い5本のスポークを採用しました。また、ホイールの凹んだ部分にボルトを配置することで、「Z」らしいアイコニックなデザインに仕上げています。

19インチホイール:日本刀から着想を得た19インチホイールのスポークは、鋭く研ぎ澄まされたデザインと手作業でつくられたような力強い印象が特徴的です。

リヤガラス:リヤガラスの下部には「Since 1969-」と、初代モデルが発売された年がさりげなく刻まれ、「Z」の歴史を物語っています。

オートマチックトランスミッション:「Z」のロゴは、新開発した9速オートマチックトランスミッションのケース側面にもさりげなく配置されており、クルマの下から見つけることができます。

黄色のエクステリアカラー:新色「イカズチイエロー」は、歴代モデルへのオマージュです。初代モデルの黄色いエクステリアカラーは、「ミスターK」のニックネームで知られる片山 豊氏が青空とのコントラストを考えて選んだものです。片山氏は1970年代に米国日産の社長を務め、「ダットサンZ」の生みの親として広く知られています。

「ミスターK」こと片山 豊 氏

インテリア

ダッシュボード:水平基調のシンプルで機能的なデザイン。そして、正対するように配置され、前後にまっすぐ延びるセンターコンソール。これらは、初代モデルから継承されている特徴で、その佇まいは力強い駆動力を感じさせ、後輪駆動のスポーツカーを象徴しています。

3連メーター:ダッシュボード上部に配置された3つのメーターは、50年にわたる「Z」のアイデンティティの一つです。メーターのレイアウトは、運転中の視線移動による疲労を軽減し、ドライバーの注意が散漫にならないよう、配慮されています。レイアウトは世代を追うごとに、ドライバーの視線移動が少ないものへと進化しています。

1977 S31 Z

1981 280Z-T

350Z(Z33) インテリア

エアコン吹き出し口:センターコンソール上部の吹き出し口は、初代モデルと同様に、センターコンソール下部の面とは逆の角度となる「逆スラント」のデザインを採用しました。このデザインは、ドライバーの視界に入る視覚ノイズを低減し、高速走行時の安心感を提供します。このエアコン吹き出し口からつながる助手席側の情緒的な造形も新型「Z」の魅力の一つです。

タコメーター:新型「Z」では、レーシングカーのようにシフトアップの最適なタイミングを知らせるシフトアップインジケーター(シフトライト)を搭載しています。また、エンジンが最大回転数に達していることを示す「レッドゾーン」を時計の12時の位置から配置し、運転中でもタコメーターの針がレッドゾーンに近づいていることを確認しやすくしています。どちらも、日産のドライバーとしてSUPER GTのGT500クラスに参戦する松田 次生選手のアドバイスによるものです。

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